初回口頭弁論での意見陳述

弁護士林朋寛

2013年09月16日 18:57


 参院選の選挙無効訴訟の初回口頭弁論期日(9月11日)において、
原告本人の私と原告訴訟代理人の升永英俊弁護士が口頭で意見陳述を行いました。

 私は、以下の内容を陳述しました。(述べようと思ったことのメモを元に口頭で話したので、述べた文言そのものではありません。)


 本件は選挙無効を求める訴訟です。

 選挙妨害の事案ではありますが、『気骨の判決』という新書になった吉田久大審院判事の選挙無効判決の後、戦後、選挙無効の判決は出ませんでした。
 選挙無効判決というのは、実際には出ないと思われていました。
 しかし、衆院選の選挙無効訴訟において、本件の証拠でも出ていますように、
広島高裁と広島高裁岡山支部で選挙無効判決が出されました。
 選挙無効判決が出るということは、現実のものとなりました。

 選挙無効判決が現実に出るようになった現在において、
合理的期間論による判決や事情判決は、「逃げ」の判決と国民に思われてしまいます。

 合理的期間論は、国会の“小田原評定”を認めるものです。国会において会議が踊っているだけなのを追認してはなりません。
 抜本的な選挙制度改革が必要だから審理に時間が掛かるというのは、居直り強盗みたいなものです。
 そもそも現在の国会は、正当に選挙されたと言いがたい議員、無資格者が議員づらをしているようなものです。議論に時間が掛かるというのであれば、むしろ、直ちに改革のできない無能な者を国会議員のままでいさせてはなりません。


「地方の声」を国会に出すという現行選挙の正当化のロジックは、訴状や原告の準備書面で述べているように、破綻しています。

 「地方の声」というと、耳障りの良い、正しい感じのする主張です。
 しかし、「地方の声」を国会に届けるという主張の当否以前に、
現行の選挙区割りが「地方の声」を届ける仕組みになっているとは言えません。
 そもそも、「地方の声」とは、何か抽象的過ぎて不明なものです。
 また、「地方で無いところの声」は軽んじられて良いという理由はありません。

 現行の選挙区の立法目的として、「地方の声」ということは、法律のどこにも書いていません。
 鳥取県に住む日本国民に比べて、沖縄県に住む日本国民の1票の価値が、0.44票であることを正当化する理由は未だに誰からも示されてはいません。

 都道府県選挙区の制度を続けてきたのは、惰性あるいは無思考の結果であり、そして現行の選挙区割りあるいは選挙制度で当選してきた者たちの既得権益を守ってきた結果にすぎません。

 この那覇の裁判所において、歴史的な一人一票判決が出ることを期待してやみません。





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