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Posted by TI-DA at

2015年04月07日

憲法三冊

憲法主義、内田樹、立憲主義




 昨年出版された本で、多くの方に読んで頂きたいと思った憲法関連の本が三冊あります。

1 南野森・内山奈月『憲法主義』
 憲法関連ではベストセラーになったと思います。
 対話形式で非常に分かりやすく、憲法の大事なところ(本質)を説明してくれています。
 日本国憲法を中心に扱っていますけど、日本国憲法にとどまらず、
”憲法”という仕組み・考え方についての理解を深められます。
 この本で、内山さん(AKB48)という生徒役の方の頭のキレが凄いという評判もあるみたいです。
 むしろ、南野先生(九大教授)の教え方が凄いと思います。


2 内田樹『憲法の「空語」を充たすために』
  憲法学者ではない内田樹さんによる憲法関係の本です。ご専門はフランス思想のようです。
  法律家で無い方からの視点は、とても新鮮でした。
  憲法制定の主体や改憲の主体についての指摘など、随所に鋭い指摘があります。

3 川口創『「立憲主義の破壊」に抗う』
  名古屋の川口弁護士の著作です。
  集団的自衛権や憲法の問題についてコンパクトにまとめられています。



【H28.3.1に札幌に移りました。】

〒060−0003 札幌市中央区北3西7 1−1 SAKURA-N3
北海道コンテンツ法律事務所
電話070−5530−0884
弁護士 林 朋寛
(札幌弁護士会所属)
http://www.sapporobengoshi.com
ブログ http://bit.ly/2eOFTn8


  

Posted by 弁護士林朋寛 at 13:47憲法

2013年05月03日

【憲法記念日】商売をする自由


 日本で、事業活動をするのは基本的に自由です。
 それは、日本国憲法で、営業の自由(22条1項)や財産権(29条)が保障されているからです。
 だからこそ、日本は、資本主義国・自由主義国の一員となります。

 人権は他者の人権との調整が必要ですから無制限に認められるものではありませんし、
営業の自由や財産権は、他者の社会生活との関わりが大きいですし、社会経済全体の政策的な考慮も必要ですので、
ある程度の規制は国家権力(法律や行政権の行使等)によって受けます。

 しかし、営業の自由や財産権が、法律や行政権(政府や地方自治体)によって、不合理に制限された場合は、
日本国民は、法律を作る国会や行政権を行使する内閣から独立した裁判所に訴えを起こして、
その具体的な事案が、国民の営業の自由や財産権を国家権力が法律や行政で侵害していないかを判断してもらうことができます。


 人権として営業の自由や財産権が憲法上尊重されているからこそ、日本国において、
自由に事業活動ができます。


 自由民主党は、日本国憲法の改正草案を発表しています。

 (最近では、憲法を改正しやすくしようと、憲法96条1項の改正を先行することを主張しているようです。
第九十六条  この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
  この点の問題については、岩手県の小口弁護士のブログをご紹介します。
http://oguchilaw.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/96-023c.html )


 自民党の改正草案は、基本的人権の尊重を後退させそうな、かなり問題のあるものです。
 個別の人権である営業の自由や財産権の問題の前に、人権保障の総論の段階から規制しやすい方向に向かっています。

 人権保障の総論である11条で規定された「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。」との規定を、自民党草案では、「国民は、全ての基本的人権を享有する。」として、人権の享有(=生まれながら身に付けていること)を妨げないという国家に対して人権の侵害を禁止を命令した部分をわざわざ削除しています。
 
 また、12条は次のとおり規定されています。
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
 この「公共の福祉」という言葉は、今では、国民の間での人権の調整の原理と考えられています。
 しかし、自民党草案は、「国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。」として、人権の調整というよりも、人権と違うレベルの「公益」とか「公の秩序」といった、国家側が都合良く構成した公益・秩序というものの下に”常に”置かれるということになります。

 さらに、憲法は第10章最高法規において、次の97条を置いています。
第九十七条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

 自民党草案は、この基本的人権の保障を宣言した規定を全て削除しています。


 営業の自由は、職業選択の自由の一内容として認められています。
第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

 自民党草案は、この「公共の福祉に反しない限り」という文言を削除しています。
 これは、無限定に居住・移転・職業選択の自由を認める案のようにも見えます。
 しかし、上記のように、そもそも、基本的人権・自由は、一般的に「常に公益及び公の秩序」により規制されるのですから、居住・移転・職業選択の自由の保障が拡大したというわけではないと言えます。


 個人の有する財産上の権利の保障と私有財産制を憲法29条1項は保障しているとされています。
第二十九条  財産権は、これを侵してはならない。

 しかし、自民党草案では、
第二十九条 財産権は、保障する。

として、財産権保障の規定の文言を弱めています。

 さらに、29条2項は、以下のとおり規定され、国民の財産権の調整を図っています。
2  財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

 自民党草案は、公共の福祉に適合するということから、「公益及び公の秩序に適合するように」と変えています。これは、財産権の調整を超えた規制を容認する方向での改定と思えます。


 裁判官の報酬については、その任期中は減額できないことになっています(79条6項、80条2項)。
 これは、司法権を構成する裁判官が、報酬を減額されるということを利用して、立法権(国会)・行政権(内閣)といった政治的な方面からの圧力が司法権(裁判所)にかからないようにして、三権分立を保障しようという仕組みです。また、裁判所内部においても、個別の裁判官が報酬に関して圧力を受けないように裁判官の身分を保障して、法律と良心に基づいた裁判を行うことを保障した仕組みでもあります。
 しかし、自民党草案は、一般の公務員と同様に減額できるように変えようとしています。
 これは、裁判官の身分保障を揺さぶって、裁判所への圧力を増そうというものではないかと思われます。
 国民の自由が不合理に国家によって制限された場合に、憲法に基づいてその救済をする役割の裁判所に対し、政治的な方面からの圧力が掛けられやすくなるということは、国民の自由の救済の仕組みが弱くなるということになってしまいます。



 以上のように、ざっと自民党の改正草案について、営業の自由・財産権の保障のいう観点から述べました。
 自民党の改正草案は、自由な事業活動をしようという日本国民にとっても、有害なものというべきです。
 

 このような改正草案を掲げていながら、さも中小事業者等に対していい顔をしているのは、不誠実だと思います(憲法や自分の党の改正草案を見てない・理解してないという人も多いのかもしれませんけど、それはそれで問題でしょう。)。
 とくに、弁護士である自民党の議員などは、改正草案について分かっているでしょうから、その上で、さも中小企業等の味方を装うのは、あまりに背徳的であると思えます。



 一人一票訴訟で明らかになったように、衆議院議員も参議院議員も、違憲状態の選挙で選出された者に過ぎません。
(一人一票訴訟について http://oki78.biz/hitoriippyou.html
 現在の国会議員は、憲法に基づく議員としての正統性に問題がありますし、
裁判所から指摘された憲法上の問題を速やかに改正できないという点で、国政を担う能力に欠ける人たちです。
 そのような資格も能力も欠く”国会議員”が、国会議員の選出の根拠というべき憲法について改正を言うべきではありません。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
カフー法律事務所
http://oki78.biz/index.html
沖縄県那覇市楚辺1−5−17 プロフェスビル那覇4階
電話098−853−4320
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
  

Posted by 弁護士林朋寛 at 18:11憲法中小企業

2010年01月14日

外国人参政権と夫婦別姓


 外国人の参政権付与法案を内閣が国会に提出する準備に入ったとか。

 私は、現連立政権が経済政策とか行き詰まったら、
国民の目をそらすために、
外国人参政権とか夫婦別姓やらを具体的に持ち出すのではないかと思ったましたけど、
外国人参政権が持ち出されるのは意外に早かったです。



 以前にも書いたことですけれど、
憲法上の問題であるのであれば、国民の意思を尊重すべきだし、
憲法改正の手続を踏むことも必要かもしれません。
 国民の多数意見を無視して、
合憲の解釈を主張して憲法より下位のルールである法律によって、
憲法上の問題のある新たな制度を導入するのは、
まさに国民主権を踏みにじる非民主的な所行でしょう。
  

Posted by 弁護士林朋寛 at 02:32憲法

2010年01月06日

外国人参政権とパチンコ業界


 年末年始に読んだ本の1冊です。


高橋 洋一 ・ 竹内 薫 『 鳩山由紀夫の政治を科学する (帰ってきたバカヤロー経済学) 』




 この本の中で、民主党が定住外国人の地方参政権の付与を政策の一つにしているのは在日朝鮮・韓国人の多いパチンコ業界の支援を受けているからという話が出てきます。

 元自民党だったりする一応の保守派と思われる人の多い民主党が外国人の参政権に肯定的なことに、私は違和感を持っていましたので、この解説は興味深いです。
 ネットで検索してみると、パチンコの業界団体が民主党を支援しているということが出てきました。
 不勉強でした。

 ただし、パチンコ業界等が支援者だからというではなしに、外国人に参政権を付与すべきと考えている政治家もいるかもしれませんので、民主党がパチンコ業界の支援のために外国人参政権を実現すると主張しているとは断定できないでしょうね。




 定住外国人の地方参政権の問題は、地方自治とはいえ、日本国の統治システムに大きな変更をするかどうかの問題ですから、
憲法改正をするか、改正の手続をしないまでも国民の輿論が外国人の参政権を是とするのでなければ、
単に国会での立法で外国人参政権を導入するのは、非民主的でしょう。
(統治システムの重大な変更を国民多数の支持もなく立法で導入した最近の例として、裁判員制度が挙げられると考えます。裁判員制度の導入は、実に非民主的です。)




 ところで、パチンコ業界が現与党の民主党の支持団体とすれば、カジノ特区の件はどうなるのでしょうか。パチンコ業界は、おそらく、ギャンブル好きなお客さんを奪われることになりかねないカジノ特区の導入に反対でしょう。さすがにパチンコ業界が表立って賭博に反対はしないでしょうけれど。
  

Posted by 弁護士林朋寛 at 21:46憲法

2009年10月05日

「一人一票」のための訴訟


 8月30日の衆議院議員選挙について、
9月28日付で、福岡高等裁判所那覇支部に選挙無効請求訴訟を提訴し、
那覇地方裁判所に、国家賠償請求訴訟と次回選挙において平等な価値の投票権を有する地位にあることの確認を求める訴訟を提起いたしました。
 これら訴訟について、林自身が原告となっています。
 
 一人一票の問題については、以前のブログ(6月26日8月2日)にも書きました。


 同じ訴訟が複数の高裁・地裁で提訴されています。
 北は北海道から南は沖縄まで、です。(札幌での提訴を訴訟代理人として担当されている弁護士の奥山先生のブログ

 那覇での訴訟の経過等も適宜このブログでご報告させていただければと思います。


 一人一票実現国民会議のサイトも是非ご参照ください。
  

Posted by 弁護士林朋寛 at 00:44憲法

2009年08月30日

国民審査の用紙が小さい





 今日は、衆議院選挙と最高裁裁判官の国民審査です。
 今回の国民審査は、一票の格差の問題を取り上げている方々が新聞広告を出したり、マスコミも国民審査に多少は注目しているみたいです。

 国民審査(裁判官の罷免(クビ)を可とするかどうか)は、今回9名の裁判官の審査です。
 審査用紙は、選挙の投票用紙と同様の大きさでしたので、裁判官の氏名に×をつけるだけとはいえ、裁判官の名前の字も小さければ×をつける欄も小さいものでした。
 これは、国民審査において×を付ける国民の権利を物理的に行使しづらくしているともいえます。
 名前と×を付ける欄を載せるだけとしても審査の用紙をせめてA5版程度の大きさにして、文字と×の欄を大きくして、×を付けようと思ったら容易に付けられるようにすべきだと思います。 


【H28.3.1に札幌に移りました。】

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弁護士 林 朋寛(札幌弁護士会所属)
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Posted by 弁護士林朋寛 at 11:44憲法

2009年08月26日

期日前投票に寄りました





 市役所の無料法律相談の担当日、市役所に行ったついでに、衆議院議員の総選挙・最高裁判事の国民審査の期日前投票をしました。(沖縄県の期日前投票については、こちら。

 期日前投票をするのは初めてでした。意外に簡単にできました。選管からの葉書を持っていませんでしたけど、運転免許証で身分確認ができれば投票できました。
 簡易に期日前投票ができて、選挙権の行使がしやすいことは、選挙権の保障の点から原則として望ましいことだと思います。
  

Posted by 弁護士林朋寛 at 00:45憲法

2009年08月16日

8月30日の投票所入場券が届きました





 麻生首相の解散予告からずいぶん経ちました。
 政治部門の権力の空白で、M&Aの焦土作戦のように、駆け込みの予算執行があれこれなされているとかいないとか。。。

 衆議院選挙と同時に最高裁判所国民審査もあります。
 国民審査は、司法権に対して民主主義的なコントロールを及ぼす重要な機会ですけど、
最高裁の裁判官って誰がどうとかよく分かりません。これは、司法業界で生きている弁護士もあまり変わらないです。
 本当は、マスコミが国民に対し情報提供しないといけないのでしょうけど、芸能人の薬物事件の方が重要なようです。
 司法フリーライターの長嶺超輝さんのサイトの情報提供が面白いです。
  続きを読む

Posted by 弁護士林朋寛 at 22:41憲法

2009年08月02日

一人一票


 先日の日経新聞で紹介されていた一人一票実現国民会議のサイトです。発起人のお一人である升永弁護士のブログについては、以前に
当ブログで取り上げさせていただき、那覇市に住所のある国民の1票の価値について書きました。
 上記国民会議のサイトでも、1票の価値について簡単に分かるようになってます。
 ここでは、衆議院議員選挙で、高知3区の選挙権を1票とした場合の各選挙区の価値を算出しています。

 私は、那覇市在住ですので、衆議院議員選挙については、0.84票の価値しか持ってないことになります。
 那覇に転居する前は、東京都世田谷区駒沢に住んでいました。駒沢を含む東京第5区に住む国民の投票価値は、0.47票です。実家のある北海道江別市を含む北海道第5区も、同じく0.47票でした。
 現住所や実家所在地なので、投票価値を見てみると面白いです。(面白いというだけの問題ではないですが。)

 上記国民会議の考えは、いびつな選挙区で当選した国会議員で構成される国会に、自主的に選挙権の不平等を是正するのは期待できないので、裁判所にその是正を求めざるをえないところ、現在の最高裁判所の裁判官のうちには既に不平等な選挙区割りに合憲の判断をした者がいるので、その裁判官について、8月30日の衆議院議員選挙の際に行われる最高裁判所裁判官国民審査で罷免の票を集めて、最高裁判所の裁判官に国民の意思を表示しておいて、選挙後に提起する訴訟において、最高裁において現行の公職選挙法の違憲判断を勝ち取ろうというもののように思われます。

 個別の問題で、裁判官の罷免の可否を判断することに批判もあるようです。
 しかし、形骸化している最高裁裁判官の国民審査の存在意義を取り戻す契機になるのではないかと私は思います。 

  

Posted by 弁護士林朋寛 at 15:15憲法

2009年07月21日

解散予告


 先週、麻生首相が、本日21日に衆議院を解散すると事実上予告していました。
 投票日を8月30日と決めて、逆算して解散の日を決めたようです。

 憲法第54条1項で「衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から30日以内に、国会を召集しなければならない。」と定められているので、解散する日の決定となったようです。
 しかし、麻生首相が解散を予告した日から、事実上、国会の審議はストップして、衆議院の議員は、地元に帰って事実上の選挙モードに入っているようです。

 上記のように憲法で選挙を行う期間の制限があるのは、国会という国家の中枢機関の機能停止の期間ができるだけ短くなるようにするためであると考えられます。そして、40日以内というのは、解散から40日以内ならばいつでも選挙していいという程度の意味ではなくて、出来るだけ国家権力の空白期間を作ってはならずどんなに遅くても40日以内に選挙をしなさいという意味と考えるべきです。
 とすると、今回の解散予告のように事実上、上記の40日規定を脱して、なおかつ解散からあえて40日後に選挙を実施するというのは、国家権力の空白期間をできるだけ短期間にしようとした憲法の趣旨に反しているのではないかと思います。

 憲法論は、9条ばかりが取り上げられますけど、9条以外の憲法の規定もとても大事なものです。



 このように憲法論を持ち出さなくても、100年の1度の不況だとか言うのであれば、さっさと解散してさっさと選挙して、新たな体制で国政が運営されるように判断するのが、国家国民のことを考えた為政者のとるべき判断ではないかと思います。

  

Posted by 弁護士林朋寛 at 13:05憲法

2009年07月03日

最高裁判所裁判官の国民審査


 前回のブログで触れました升永弁護士のブログでは、
投票価値の不平等を容認した最高裁判所裁判官に対し、国民審査で不信任をつきつけようというお考えのようです。
 同ブログでは、投票価値と国民審査に関しアンケートもしています。
http://blg.hmasunaga.com/sub/question.html



 最高裁判所裁判官の国民審査は、近くある衆議院議員総選挙の際に同時に行われます。三権のうちの司法権という重大な権力を行使する者の審査ですので、もっと注目されてよいと思います。
  

Posted by 弁護士林朋寛 at 21:39憲法

2009年06月26日

1票の価値の平等


 弁護士業界だけではなく、一般に著名な弁護士である
升永英俊先生が、1票の価値の問題と民主主義について問題提起をされ、
実質的な一人一票の実現を目指す運動をされています。
 従来、個々の人権(平等権)の問題と捉えられがちだった、一票の格差の問題について、
民主主義国家とはどういうものかという観点からご主張を展開されています。

升永先生のブログhttp://blg.hmasunaga.com/main/

http://blg.hmasunaga.com/sub/index.html
↑によると、沖縄県那覇市在住の私の1票の価値は、

衆議院議員選挙においては、0.84票
参議院議員選挙においては、0.46票

となるようです。
 沖縄は、1.0票に近いかと思ってましたけれど、意外に1票の価値が低いようです。


 1票の価値の実質的な平等を実現するのは、地域代表的な選挙区割では、技術的になかなか困難かとも思われます。
 私は、国会議員は、「全国民の代表」(憲法43条)であるのだから、選挙区を地域で割る必要性は必ずしもなく、インターネット環境の進んだ現代においては、全国1選挙区あるいは、世代別や納税額別等で選挙人団を分けた代表選出により、それぞれの有権者数に応じた議席配分で1票の価値の平等を図ることができるのではないかと思います。(納税額別については、別の観点からの批判・非難もあるでしょう。)

 


 沖縄の声が東京に届いていないといった論調の報道も、時折見られる気がします。
 実際に1票の価値が小さいのですから、国会における沖縄からの声も小さいといえるのかもしれません。私は、国会議員に地域代表的な期待を持つ考えには馴染みませんけれど、沖縄からの主張を強めるべきと考える方にとっても、現状の選挙制度は問題ありとなるのではないかと思います。
 
  

Posted by 弁護士林朋寛 at 22:11憲法